下記相談事例などをご参考にご検討下さい。

 ただ、似たような事例でも、生の社会生活においては具体的問題の背景はそれぞれ千差万別ですから、そのままうのみにすることは賢明でないと考えられます。

 また、問題の解決に向け場合によっては、他機関や他資格者との連携や紹介をするといったことが必要なこともあろうかと思います。
 さらに、もうちょっと様子を見、ことの成り行きを静観するほうがよいという場合もあろうかと思いますが、もちろん早期発見・早期治療が重要な事例が多く、最悪でも手遅れにならないよう注意が必要です。

 何でもお気軽に、ささいなことでもお早めにご相談下さい。


 


成年後見

<解決方法>  成年後見制度とは,認知症や知的障害,精神障害が原因で自分の意思で財産処分をしたり,介護サービスを受けるときなどの際の契約をすることができない方を保護するため,家庭裁判所から選任された後見人がその方に代わって法律上の行為等をする制度です。(障害等の程度により比較的軽度の方のために類似の制度として保佐・補助という制度もあります。)

 成年後見の申立ては四親等以内の親族であればすることができるので,上の例でもご自身で申立てをすることができますし,その際後見人候補者としてご自身をあげることもできます。もっとも,上の例でいえば,亡くなった父の遺産について認知症の母と分け合う関係に立つので,万が一にも不正がないようにするために,場合によっては他に後見監督人が選任されたり,そもそも後見人になるのは不適当だとして,他の人が後見人に選ばれることもあります。

 後見人に選任されると被後見人(上の例でいくと認知症の母)の財産状況を定期的に家庭裁判所に報告する必要がでてきますので,そのような事務をすることが煩わしい,時間がない,むずかしそうで不安だといった場合には,ある程度の費用はかかりますが(もっとも,この費用は被後見人の財産から支出されるのが原則です),専門家に後見人になってもらうのも一つの方法です。
<解決方法>
法律相談 成年後見 『親なき後は親あるうちに』といわれます。自分なき後の信頼できる身寄りがいない,残されたお子さんの将来が不憫であり,心配で死ぬに死にきれぬ,との親の心情は痛いほど,また切ないほどよく理解できます。このような場合には一般に,遺言による工夫や信託,さらには地域での組織的見守りといったことが提案されていますが,お子さんにお金が渡った後の権限あるマネジメントやその公的監督の問題がなかなか解決できません。

 監督を伴い,且つ明確に公示された権限をもった信頼のおける人にお子さんの将来を託して,安心して生活して頂くための重要な選択肢として,任意後見(契約によって予め後見人や依頼したい後見事務を予定しておく制度)や法定後見を活用することも提案されています。

家庭・家族

<解決方法>
 相手と協議がまとまらない場合,離婚するためには,家庭裁判所へ調停の申立てをする必要があります。それでも離婚が成立しなかったときは,家庭裁判所へ離婚のための訴訟を提起する必要があります。
 離婚調停は,家庭裁判所で離婚に向けた話し合いをする手続です。離婚調停では,裁判所により選任された調停委員を交えて話合いを行いますが,あくまでも話合いの場ですので,相手が調停に応じなかったり,離婚条件(子どもの親権,財産分与等)の折合がつかないために相手が離婚に応じなかった場合は,調停不成立となってしまいます。  離婚調停が不成立となった場合は,改めて,裁判所へ離婚のための訴訟を提起します。離婚訴訟では,離婚原因があることを訴状に記載して,裁判所へ提出します。相手方からも反論等の主張がなされますので,それに対する再反論をして・・・,というように,お互いの主張立証を繰り返したうえで,最終的に裁判官が判決を下します。裁判の途中で,離婚条件に合意ができたときは,判決を待たずに,裁判上の和解をすることができます。

 訴状に記載する離婚原因は,民法第770条に掲げられた法定離婚原因に該当する必要があります。法定離婚原因としては,次の5項目が挙げられています。

法律相談 離婚 別居 家庭不和①配偶者に不貞な行為があったとき。
 「不貞な行為」とは,俗にいう「不倫関係」であるだけでなく,性交渉が存在することを認定もしくは推測できなければならないとされています。
②配偶者から悪意で遺棄されたとき。
 自宅に帰ってこない,生活費を渡さない等の場合がこれにあたります。
③配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
④配偶者が強度の精神病にかかり,回復の見込みがないとき。
 「強度の精神病」とは,早期痴呆症や躁うつ病などが該当しますが,アルコール依存症,ノイローゼなどは該当しない,とされているようです。また,離婚後 の病人の看病を含めて,病人の離婚後の生活に支障がないことも条件となりますので,この条文による離婚を認められるのはかなり難しいといえます。
⑤その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき。

 上記の①から④の法定離婚原因に該当しない場合は,この条文をもとに離婚を請求することになります。この条文に該当する場合として,性格の不一致や暴力などが挙げられます。
離婚の訴訟をするときは,上記のいずれかに該当することを主張,立証する必要があります。訴訟による離婚をする場合には,第三者である裁判官に,上記の離婚原因が存在することを認定してもらう必要があるため,客観的な証拠を積み上げて,自分の主張を認めてもらうことが重要になります。
<解決方法>
 財産分与については,離婚時に話し合いがまとまっていなくても,離婚後2年間は請求することができますが,子どもの親権者については,離婚届を提出する際に決める必要があります。

 財産分与とは,結婚生活で築いた財産を離婚時に清算することですが,この話合いがまとまらないときは,家庭裁判所に離婚調停の申立てをすることになります。そして,調停でも話合いがまとまらないときは,裁判官により審判がなされます。財産分与は離婚後2年間は請求することができますが,その間に相手方に財産を処分されてしまうと,それを取り戻すのはほぼ不可能であるため,離婚時に財産分与の問題も解決しておくことをお勧め致します。また,離婚訴訟を提起するときに,あわせて財産分与の申立てをすることができます。

 子どもの親権についても,夫婦間で話合いがまとまらないときは,裁判所に調停の申立てをして,調停もしくは家事審判手続により親権者を決めることになります。離婚時に親権者を決めた後で親権者の変更をするには,家庭裁判所の許可が必要になるため,早く離婚したいからといって,安易に親権を手放してしまうと,後にトラブルの元になってしまいます。離婚時によく話し合うことが大切です。
<解決方法>
 養育費の支払を任意にしてもらえない場合は,最終的には相手の財産に対して強制執行をすることによって,回収をすることになります。

 強制執行をする際には,債務名義が必要になります。債務名義とは,養育費の支払を命じた判決,和解調書,調停調書,公正証書等のことをいいます。ただし,公正証書については,養育費不払いの際に強制執行を受けることを受諾する旨の条項が入っていることが条件となります。離婚する際に夫婦間で作成した私的な合意書等の書類は債務名義にはなりませんので,改めて上記の債務名義を取得する必要があります。

 また,強制執行するためには,相手の財産(預金,給料等)をある程度特定する必要があります。具体的には,預金の場合は,銀行の場合,「〇〇銀行××支店」まで,会社の場合は「◇◇株式会社△△支店(営業所)」まで特定する必要があります。

相続

<解決方法>
 封印された遺言書の開封は,家庭裁判所に検認手続の申立てを行い,法定相続人全員に開封時に立会いの機会を与えた上で行う必要があるため,勝手に開封してはいけません。
 
 遺言書は,家庭裁判所での検認手続を経たうえでなければ執行することができません。この検認手続は,法定相続人に対して,遺言書を開封する期日を通知して行われます。そして検認期日に相続人等の立会いのもとに遺言書が開封されます。また,遺言書がすでに開封されてしまっていた場合でも,検認手続を経ないと執行することができないため,この検認手続を申し立てる必要があります。
<解決方法>
 遺産分割は,法定相続人全員が協議に参加しなければならないため,協議に参加しない方を除外して遺産分割協議書を作成しても,未だ発効していないと言えるでしょう。この場合は,家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てる必要があります。

 遺産分割調停では,調停委員を間に入れて各相続人から事情を聴き,相続人間の事実関係や相続財産の評価,各相続人の亡くなった方への貢献度等,様々な事情を考慮した上で遺産分割案を提案します。ここでは,いろいろな解決策が検討されることが見込まれるため,相続人全員が100%満足を得るということはおよそ不可能ではありましょうが,譲歩をしあい,妥当な協議が成立することも多く期待されます。この分割案で相続人全員が納得した場合は,調停調書が作成され,遺産分割協議は終了します。調停が成立しなかったときは,遺産分割審判に移行し,家事審判官(裁判官)による審判による遺産分割が行われます。

借金問題

<解決方法>
 消費者金融会社の約定利率は,だいたい利息制限法所定の利率(10万~100万円で18%)より約10%高い利率でしたので,利息制限法所定の利率に引き直し(利息制限法所定の利率を超えて支払った利息を元本に充当計算できるのが今や概ね原則となっています)をすると,通常,50万円の借入れは3年弱で完済されることとなります。(利率29.2%,月々の支払額2万円,約定どおりきちんと支払っていた場合)
したがって,それ以上に長い期間弁済を続けていた場合,利息の払い過ぎ(いわゆる過払い)が生じます。

法律相談 借金 この払いすぎた利息(過払金)を取り返すためには,まず正確な過払金の額を計算しなければなりませんが,計算するためには何年何月何日にいくら借りてい くら返したかということが分からないとどうしようもありません。ところが,消費者金融との取引は通常何年間にもなるので,このような記録を全て保管してい る方はほとんどおられないはずです。

 そこでまず,消費者金融からこれらが記載された取引履歴を取り寄せます。消費者金融側には取引履歴開示義務があり,開示請求に応えなければならないことになっています。

 開示された取引履歴に基づき,過払金の額を算定し,消費者金融に対し請求していくことになります。(計算しても負債が残ってしまった場合については,他のところで述べます。)
本来であれば過払金は当然全額返されるべきものなのですが,昨今過払金返還請求事案が増大し,消費者金融側も支払いを渋ったり,大幅に減額してほしいと言われることが多くなってきています。

過払金の有無や計算方法について法律上の争点があったり,とても呑めないような大幅な減額を要求されるなどで,どうしても双方の折り合いがつかない場合,最終的には訴訟を提起して決着をつけることになります。
<解決方法>
 あなたが完済した日(最終取引日)から10年以内であれば,過払請求は可能とされています。とはいえ,いつ完済したか正確に覚えていない方も多いでしょうから,相手の会社から取引履歴を取り寄せて,完済した日を調べたうえ,完済日から10年以内であれば請求していくことになります。
<解決方法>
 消費者金融会社の約定利率は,だいたい利息制限法所定の利率(10万~100万円で18%)より約10%高い利率でしたので,たとえ利息制限法所定の利率で引き直し計算してもなお借金が残る場合であっても,今まで消費者金融から請求されていた額よりは少ない額を支払えばよいことになることがほとんどです。

 なお,ごく最近は,多くの過払請求や貸金業法改正を受けて,特に大手の消費者金融を中心として約定利率が利息制限法内に下げられる傾向にあります。確かに,利息制限法内の借入れであれば,借金の額は引き直し計算しても変動しません。ですが,取引期間が長く,以前は利息制限法を超える約定利率であったという場合には,やはり借金の額は減ることになります。

 この場合も,過払請求のときと同様,正確な債務額を把握するため,取引履歴を取り寄せます。そのうえで利息制限法所定の利率で引き直した「適法な」債務額を相手の会社に支払っていくことになります。その際,債務額にもよりますが,ほとんどの業者は数年数十回(概ね60回程度)の分割払い,以後は利息をつけない,という内容の和解に応じてくれています。

 和解内容に基づいて支払っていけば確実に借金を減らすことができ,これまでのように返しても返しても元金が減らないというような事態は解消されることが見込まれます。(もっとも,最近は業者の経営状態の悪化が原因で,今後も利息制限法内の利息をつけて払ってほしいと言われることがあります)

 また,任意整理を行うと,個人信用情報(いわゆるブラックリスト)に登録されてしまう場合がありますので,新たな借入をすることがむずかしくなるというデメリットがあります。(借入ができない期間は完済からおおむね5年程度と言われています)
個人再生手続には①小規模個人再生と②給与所得者等再生とがあります。

① 小規模個人再生
 継続的な収入を得る見込みがあって,住宅ローンなどを除いた借金の額が5000万円を超えない場合,することができます。
 この場合,住宅ローンはそのまま返済していくことになりますが(金融機関との交渉により条件変更ができる場合もあるでしょう),それ以外の借金については,

その額が
500万円以下であれば100万円
500万~1500万円であればその5分の1
1500万円~3000万円であれば300万円
3000万円~5000万円であればその10分の1

と現にお持ちの資産とを比較してその大きいほうの額を3年間(場合によっては5年間)で返済していくことで残りは免責を受け支払わなくてもよくなるというものです。
 (ただし,債権者の決議要件あり)

② 給与所得者等再生
 ①小規模個人再生の要件に加え,給与またはこれに類する定期的な収入を得る見込みがあって,収入の変動の幅が小さいと見込まれる場合に,することができます。①小規模個人再生と同様,住宅ローンはそのまま返済していくことで,自宅を温存することができます。
 この場合,可処分所得(大雑把に言うと,収入から生活費等を差し引いたもの)の2年分に相当する額と①小規模個人再生の要件にしたがった額とを比較してその大きいほうの額を原則3年間(場合によっては5年間)で返済していくことで残りは免責を受け支払わなくてもよくなるというものです。
 (ただし,債権者の決議要件なし)
   
 上の例でいうと,住宅ローンはこれまでどおりご返済を続けていただく必要がありますが,①小規模個人再生を選択した場合,住宅ローン以外の債務についてはその額が500万円なので,100万円を3年間(月額約2万8000円)で返済することで,その余については支払う必要がなくなります。

 また,任意整理の場合と同様,個人再生の場合も個人信用情報に登録されてしまうことになりますので,新たな借入は事実上難しくなります。(借入ができない期間は手続開始決定からおおむね約7年から10年程度と言われています)
<解決方法>
 定期的な収入がなければ個人再生手続は利用できません。
 また,おおよそ60回の分割払いも困難な状況であるなら,任意整理の方法によることもできないでしょう。

 このような場合には,お持ちの不動産や高価な財産は原則諦めて頂く必要がありますが,裁判所に自己破産の申立てをし,免責してもらうことにより,原則として全ての借金(ただし,税金や不法行為に基づく損害賠償債務など一定の債務は除かれます)をなくすことができます。
 もっとも,借金の理由がギャンブル等の遊興費であった場合には,免責を得られないこともあります。(その場合には定職に就いたうえで個人再生手続の利用をご検討頂く必要があるでしょう)

 また,
・不動産・高価な財産は失う可能性が高い。
・一定の資格に就いておられる方はその資格を失う。
・銀行や保険会社にお勤めされているなど,お金を扱う仕事をされている場合には,仕事ができなくなる可能性がある。
・債権者や保証人に迷惑をかけてしまう。
などというデメリットがあります。

法律相談 自己破産 また,任意整理や個人再生の場合と同様,自己破産の場合も個人信用情報に登録されてしまうことになりますので,新たな借入は事実上難しくなります。(借入ができない期間は手続開始決定からおおむね約7年から10年程度と言われています)
 自己破産には上記のようなデメリットがありますし,そもそも「自己破産」するということは,事柄の性質上,簡単に決断できるものでないことはもちろんです。しかし,あなた自身やご家族のことを思えば,思い切って自己破産の申立てをして,今までの人生を清算し,新たな人生をスタートさせるということが必要な場面もあるはずです。

 決して諦めてはいけません。借金の問題は,きっと必ず解決できるのです。

職場問題

<解決方法>
 いわゆるサービス残業は使用者側にとって違法であり,使用者は労働者に対し,残業代を払わなければなりません。法定の労働時間(原則週40時間,1日8時間)を超える残業に対しては割増賃金を請求することができます。
 そして,未払いの残業代に対しては現在も同じ会社に在職していれば年6%,退職してからは年14.6%の遅延損害金が請求できることになっています。
 さらに悪質な使用者に対しては,訴訟を起こして勝訴することが前提となりますが,裁判所が未払いの残業代と同額の付加金の支払いを命じることがあります。(つまり残業代の2倍支払ってもらえる)

法律相談 職場 労働環境 就労改善 まず,残業代を払ってもらうためには,あらかじめ残業した時間を把握しておくことが重要です。最悪の場合,訴訟になることも想定して,タイムカードのコピーをとる,タイムカードのない職場であれば日々の残業時間をメモする,などしておきましょう。
 そのうえで,使用者に対し残業代の支払いを請求し,それでも払ってもらえないようなら,労働基準監督署に通報する,紛争調整委員会によるあっせんを求める,訴訟を起こすなどの措置をとることになります。

 確かに,使用者に対し,「残業代を払って下さい」と言うのはなかなか勇気の要ることです。もしかしたら,嫌がらせを受けたり,昇進の妨げになったりするかもしれません。(このような行為が違法であることは言うまでもありませんが,実際には起こり得ることです)
 ところが,残業代など,未払賃金の支払いを求める権利は2年で時効にかかってしまうので,放置しておくと請求できなくなるのです。

  繰り返しになりますが,サービス残業は違法です。長時間のタダ働きで体を壊したり,過労死してしまったりしては元も子もないのです。きちんと残業代の支払いを求めることによって漫然とサービス残業をさせていた使用者の側にも労働者に配慮する意識が芽生えるかもしれません。また,請求後の使用者による嫌がらせなどについては,専門家が関与することで一定の抑止効果が期待できます。
<解決方法>
法律相談 職場 労働環境 就労改善 派遣期間の満了により労働者派遣契約は終了してしまうので派遣先に対し派遣期間を延長してくださいと求めることができないのが原則です。もっとも,平成 16年に改正された労働者派遣法では,一定の場合に派遣先は,派遣労働者に対する雇用契約の申込みをしなければならないと定められ,不安定な状態に置かれ る派遣労働者の保護を図っていますので,事案によっては仕事を続けることができる場合があります。
 また,例えば形式上は派遣社員であるけれど,何度も契約更新をして実質的には正社員と変わらないような勤務形態であったような場合には,派遣期間が満了することを理由とする更新拒絶は解雇の場合と同様の事情(次のQ.でのA.①~④等)が会社の側に必要であるとする裁判例や,更新拒絶そのものを無効とする裁判例があります。

 したがって,自分は派遣社員だから派遣期間が満了してしまえば,会社の都合でクビを切られてもしょうがない,ということには必ずしもなりません。
<解決方法>
 このような整理解雇が許されるためには,お概ね会社側に次のような事情が存在しなければなりません。

  ① 本当に人員を削減する必要があるのか。
  ② 解雇を回避する努力を会社は尽くしたのか。
  ③ 解雇対象となる人の人選は適当であるのか。
  ④ 解雇するにあたりきちんと話し合いの場がもたれたか。

 もしこのような事情がなく解雇すると告げられたのであれば,解雇は無効になると考えられます。

法律相談 整理解雇の問題を解決するための方法としては,訴訟のほか,紛争調整委員会によるあっせん,労働審判制度などがあります。
 紛争調整委員会によるあっせんは,簡易・迅速・無料というメリットがありますが,まとまったあっせん案は民法上の和解契約の効力しかなく,強制力がありませんし,当事者の一方でもあっせん案を受諾しない場合には,そもそも成立しません。

 労働審判制度は,裁判所が関与する手続ですが,原則3回以内の審理で終結されるとされているので簡易・迅速に行われます。この際,調停も試みられますが,調停がまとまらなければ審判が言い渡されます。これらの判断には強制力がありますので,紛争の解決という意味では強力です。しかし,当事者が審判に異議を申し立てたときは通常の訴訟に移行してしまうというデメリットがあります。

土地・建物

<解決方法>
 不動産を贈与したということを第三者に対抗するためには所有権移転登記をする必要があります,登記には下記の書類が必要です。法律相談 土地 贈与 建物
    
    ①贈与契約書(登記原因証明情報)
    ②受贈者(妻)の住民票の写し
    ③贈与者の印鑑証明書(3ケ月以内のもの)
    ④贈与者の登記識別情報(登記済証)
    ⑤委任状

 この際,贈与税が問題となりますが,婚姻期間が20年以上で居住用不動産の贈与の場合,基礎控除110万円の他に最高2000万円まで控除を受けることができます。(配偶者控除)
<解決方法>
 相続登記をせず,亡くなられたご主人名義のままで放置しておいても,行政から過料を科されるなどのペナルティはないのですが,将来不動産を処分して第三者に所有権を移転するなどする際には,前提として必ず相続登記をしなければなりません。つまり,放っておいても構わないけれど,いずれは必ず相続登記をすることになるということです。

 このとき,不動産をどういう持分割合(ある人が不動産全部を取得して,他の人はゼロとすることも可能)で相続するか,相続人の方全員での話し合い(遺産分割協議)が整えば,決められた持分割合で登記することが可能です。ある人が不動産全部を取得して,他の人は金銭を取得するなどということもできます。

 もし仮に,ご主人が亡くなられた時点から不動産を処分しようとする時点まで,相続人全ての方々がご存命で,意思もしっかりしていれば,とりあえずご主人名義のままで放置しておき,後で登記しようとしてもそれほど問題は生じません。(相続税の申告が必要な場合があります)
しかし,例えば

・相続人の一人が認知症になってしまい,意思表示をすることができない。
・遺産分割協議をしないまま相続人の一人が死亡してしまい,遺産分割協議をして不動産を分けたいが,関係者が増え遺産の分け方についての話し合いの収拾がつかなくなってしまった。
・相続人の一人が失踪してしまった。

 など,場合によっては,先に裁判所の手続をしないと相続登記ができなくなる場合も起こり得ます。

 このように,相続登記をせずにそのまま放置しておくことは通常,得策とはいえませんし,ますます困難になってくることが予想されますので,先に延ばさず登記してしまうことをお勧め致します。
 相続登記に必要な書類としては下記のものが挙げられます。

   ① 戸籍等(被相続人の亡くなるまでの連続した戸籍・除籍等)
   ② 不動産の名義人となる方の住民票
   ③ 遺産分割協議書・相続人の印鑑証明書(法定相続の場合は不要)
   ④ 委任状

そのほかに,被相続人の固定資産税評価証明書もしくは固定資産税の納税通知書をお持ちになって頂くとおおよその費用をお知らせすることができます。

 また,原則として相続登記の際に権利証(登記済証・登記識別情報)は不要です。

裁判

<解決方法>
 このようなケースで取り得る手段としては概ね,①問題となっている境界までの土地を時効取得する,②行政に隣地との境界を決めてもらう(筆界特定制度),③裁判所に隣地との境界を決めてもらう(境界確定訴訟)という3つがあります。

法律相談 裁判 友人 貸借 土地境界 まず,①時効取得ですが,問題となっている境界までの土地を20年間(事情によっては10年間)占有している場合には,たとえその部分が登記名義上他人の土地とされていても,時効でその部分の土地所有権を取得できる場合があります。
例えば,本来隣のものであるはずの土地をコンクリート塀で囲うなどして20年間自分のものとして占有している場合には,その部分の土地の所有権を主張することができます。
もっとも,隣が第三者に土地を売却するなどして隣地の所有者が代わってしまった場合等,時効取得できないこともありますので,土地の時効取得が可能なケー スであれば,早めに訴訟・調停など裁判所の手続を利用して,問題となっている部分の土地の所有権を取得することをお勧め致します。ただし,相手方となる土 地名義人が時効取得を争う場合は,やはり訴訟等によらざるを得ないこととなります。

 占有している期間がそれほど長くない,そもそも隣との仕切りになるような塀などを設置していない,など時効取得ができない(またはむずかしい)場合には,②③行政や裁判所に隣地との境界を決めてもらうことになります。この場合,行政や裁判所の判断で境界を決めるため,必ずしも期待どおりの境界にならないこともあるというデメリットはあるものの,概ね常識的な線で境界が決まるため,①の方法よりは当事者間で「土地をとられた!」と感じる度合いが少ないといえるでしょう。なお,②の判断に不服のある場合は,なお改めて③の手続をとることが可能です。
 このような場合にとり得る手段としては,大きく分けて

  ①話し合いを続けて返してもらう。
  ②裁判所の手続を利用して返してもらう。

  という2つの方法があります。

 金を貸した相手は友人なので,まずは①話し合いを続けて返してもらうのが,双方ある程度納得しての解決となるため望ましいと言えるでしょう。例えば,友人が金を借りたこと自体は認めていて,今金がないので払えないと言っているような場合には,こちらもある程度譲歩(減額・返済期限の延長・分割払等)することにより,円満に解決できる場合があります。この際,

・(後に証拠として利用するため)内容証明郵便で請求する。
・話し合いの結果をきちんと書面の形で残しておく。

ということをやっておいたほうが,友人も真剣に返済を考えるでしょうし,万が一,後に裁判所の手続での解決を図らなければならなくなった場合の備えにもなります。

 話し合いで解決できない場合には,②裁判所の手続を利用して返してもらう方法を考える必要があります。この場合,裁判所が関与するので,最終的には強制的に相手の財産からお金を回収することが可能となります。ただし,

・話し合いでの解決よりもコストがかかる。
・裁判沙汰になるということで友人との人間関係が破壊される。
・証拠が揃っていないとこちらに不利な判断が出る可能性がある。
・相手にめぼしい財産がない場合,費用をかけたにもかかわらず金が回収できない。

などのリスクがあります。

賃貸借問題

<解決方法>
 まず,賃借人から敷金を受け取っている場合には,アパートの明渡し時に明渡し時点までの未納賃料を敷金から差し引くことができます。それでも足りないという場合は,【裁判のこと】でも触れますが,大きく分けて①話し合いによる解決を図る,②裁判所の手続を利用して解決を図る,という2つの手段が考えられます。

一時的な病気などが原因で未払いの期間が短く,原因となる事情が改善される見込みがあるのであれば,①話し合いによる解決になじむ事案であると言えるで しょう。この場合には,内容証明郵便などでこちらの考え(例えば未払分については半年後から分割で従来の賃料に上乗せして払ってもらうなど)を示して,相 手が応じてくれるのであれば,その旨の書面を取り交わしてとりあえずはよしとする(約束どおり払ってくれなければその書面も証拠として②裁判所の手続を利 用する),など話し合いでの解決が望めます。

 他方,例えば1年以上も賃料が未納で支払いを求めても無視される,催促に行くと暴言を吐かれる,などという場合には,単に未払い賃料を支払ってもらうことのほかに,賃貸借契約そのものを解除して相手方にアパートから退去してもらうことを考える必要が出てくるかと思われます。このような場合に相手方が話し合いに応じる可能性は低いでしょうから,最終的には訴訟・調停など②裁判所の手続を利用して解決を図ることとなります。なお,賃貸借契約の解除が認められるためには,相手方との信頼関係が破壊されているということを裁判所に認定してもらう必要がありますので,賃料の未払期間,相手方との交渉状況等の具体的事情によっては,解除が認められない場合もあります。(この場合でも当然未払賃料の支払いは認められるでしょう)

 いずれのケースでも,後の裁判所の手続を想定しつつ進めていったほうがよいといえます。
(例)実家を離れて4年間一人暮らしをしていた大学生のAさんが,大学卒業後就職のため借りていたアパート(家賃月5万円)を引き払う際,大家のBさんから原状回復費用として20万円を請求されてしまった。
   Bさんからの請求書には,
   ①ハウスクリーニング      10万円
   ②畳の表替え           5万円
   ③壁紙の張り替え         3万円
   ④割れた洗面台のガラスの修繕   2万円
   と記載されていた。
 (但し,契約書に借主が原状回復費用を負担する旨の条項がない場合)


<解決方法>
 賃借不動産の原状回復義務は,借りたときと全く同じ状態に戻さなければならないというものではありません。通常の使用によって自然に損耗した部分については,あらかじめ家賃に組み込まれていると考えられます。なぜなら,賃貸借契約においては,通常の方法で物件を使用することが予定されており,そのための対価として借主は家賃を支払っているということができるからです。もっとも,通常の方法を超えた使用や借主の故意・過失によって物件に損害が生じた場合には,借主はその部分についてはやはり支払わなければならないでしょう。

 したがって,上の請求書を例にとると以下のようになります。

・①②③について
 Aさんが部屋をいつもくまなく掃除していて,借りた時点と比べて部屋が汚れたといってもそれは年月の経過が原因である場合には,それらは予め家賃に組み込まれているといえるので,これらについて原状回復費用を支払う必要はないと考えられます。

  これとは反対に,Aさんが全く部屋を掃除せず,それが原因で部屋の汚損が拡大したというような場合には,少なくとも拡大した汚損部分についての費用は原状回復費用として支払わなければならないと考えられます。

・④について
  割れた洗面台のガラスが壊れたのは地震が原因だというような場合には,地震の発生についてAさんに何も責任はないので,これをAさんが負担すべきであるというのは不合理であり,Bさんが負担すべきと考えられます。
  反対に,Aさんの不注意でガラスを割ってしまった,Aさんの友人が遊びに来た際に誤って割ってしまった,などというのはAさん側の過失によるものなので,Aさんが負担すべきと考えられます。

 もっとも,
・契約書に原状回復費用は全て借主の負担とする旨の条項がある。
・家賃の滞納もあるので,費用減額の話を大家さんに持ちかけるのは気が引ける。
・払わなければならない費用があることは認めるが,今すぐにはお金を用意できそうもない。
・このことが原因で賃貸借契約の保証人になっている伯父ともトラブルになってしまった。
・本来支払うべき費用以外は払わないと大家さんに話したが取り合ってもらえず,敷金を返してもらえない。
・いつまでにいくら払わないと訴訟を提起すると言われた。

など、実際における原状回復費用の問題は複雑で,その解決までのプロセスは個々の事案によって全く異なります。場合によっては裁判所の手続を利用しなくてはならない場合も出てくるので,それも視野に進めていく必要があります。

会社創業・承継

<解決方法>
株式会社を設立する場合は,会社の基本的な規則を定めた定款を作成し,公証人の認証を得たうえで,設立の登記をします。この登記により,会社が誕生するのです。

株式会社を設立する場合は,初めに,概ね下記の事項を決めて頂く必要があります。

①会社の商号
②会社の本店所在地
③会社の目的
④会社の資本金
⑤会社の役員(代表取締役,取締役,監査役)

このうち,③会社の目的は,具体性,明確性,適法性等の要件があるため,会社の目的として考えている内容を上記の要件に抵触しないように表現を検討する必要があります。

④会社の資本金については,最低資本金制度が撤廃されたため,資本金が1円でもあれば設立することができます。ただし,設立登記の際の登録免許税等がかかりますので,現実問題としては1円で設立ができるわけではありません。また,資本金の額は株式会社登記簿に記録される(公開される)ため,会社の信用性の面から,ある程度の金額を資本金とすることが多いと思われます。

⑤会社の役員については,非公開会社(会社の株式を譲渡により取得する場合に,当該会社の一定機関の承認を得る必要のある会社)であって,大会社(資本金5億円以上または負債総額200億円以上の株式会社)以外を設立する場合は,取締役が1名(代表取締役を兼ねる)で監査役を置かなくても会社を設立することができます。また,役員の任期についても定款で決めておく必要があります。役員の任期は,最長で10年まで設定することが可能です。
<解決方法>
 議決権制限株式等種類株式を活用して,相続後の会社経営の安定を維持しつつ,他の相続人に対する相続分も確保するなどが考えられます。

 通常,相続が発生して法定相続によるときは,兄弟間では相続分が平等であるため,株式の相続についても,兄弟間では均等に分散され,将来の会社経営の不安定要因となってしまいます。また,長男にのみ株式を全部相続させてしまうと,後に兄弟間のトラブルを招きかねません。

 そこで,会社の後継者とならない兄弟が取得する株式については議決権制限株式とすることが考えられます。議決権制限株式とは,株主総会での議決権の,全部または一部を制限することを内容とするものです。これにより,会社の株式は兄弟間で平等に相続させると同時に,会社の意思決定については後継者である長男が行うことができるようになります。

 なおほかに,特定の重要事項については必ずその株式を有する株主の賛成を必要とする,とする拒否権付株式(黄金株),特定の株式について特定の権利(例えば数倍の議決権)を付加する,とする比重株,特定の株主(例えば代表取締役)の有する株式について特定の権利を付加する,とするVIP株などの,いろいろな種類株式や新株予約権を活用して事業承継を円滑に進める提案がなされています。